本土ヒラタクワガタ飼育記2020:幼虫飼育編

2020/10/26 幼虫をビンに投入

20匹居た幼虫は割り出し後に1週間ほど割り出し後のマットをスカスカに詰めたプリンカップで管理していたのだが, マットがスカスカだったのがまずかったらしく拒食によるブヨブヨ病で8匹も落ちてしまった。大反省。

残った12匹の幼虫はマットと菌床組に分けて管理する。具体的には1齢から3齢初期までをKBファームのAG菌床または栄養フレークEXで飼育する。3齢初期から羽化まではKBファームの栄養フレークEXまたは微総研のMT160金(粗目)で飼育する。

つまり, ①AG菌床⇒栄養フレーク, ②AG菌床⇒MT160, ③栄養フレーク⇒MT160, ④栄養フレーク⇒栄養フレークの4パターンの飼育方法を試す。

ヒラタはそこまで菌糸に強いわけではなく初齢で投入すると拒食するおそれがあったので, 2齢をAG菌糸に投入した。特に暴れることもなくちゃんと食べてくれているようだ。

2021/01/17 エサ交換

前回の投入から概ね3ヶ月経ったのでエサ交換をした。サーモの温度は19℃に設定しているが、外気温の変動により温室内の場所によって18〜22℃程度のばらつきがある。

交換用のシワタケ菌床は3ヶ月前に詰めて寝かしておいたもの。菌が回るのが遅くかつ不朽力も低いために2ヶ月ほど寝かすのが大事らしい。今回は3ヶ月も寝かしてしまったため栄養が菌に取られているかもしれない。

さて一本目はマット組と菌床組に分けて飼育していたのだが, ♂が菌床に, ♀がマットに大きく偏ってしまった。成長度の対照実験をしたかったのだが, これではうまくいかないだろう。

以下に気づいた点をメモする。

  1. 今の所菌床とマットで大きな成長の差はみられていない
  2. 初齢時は拒食でバタバタと落ちたが今回は一匹を除いて生存中。初齢は弱いのかもしれない。
  3. マットが乾燥気味だった。もっとこまめに加湿すべき
  4. 幼虫は脂肪がついておらずまだ成長しそう
  5. 現時点ではかなり小さい。このまま成長せず羽化すると仮定した場合, ♂が34mm〜41mm, ♀が25〜35mm程度しかない(参考)。せめて60mmは行って欲しいところだ。
  6. この頭数でもマット交換に2時間くらいかかる。来年からは数を減らそう

20210430 羽化個体が出る

本日個体番号13の羽化を確認した。孵化から羽化までちょうど7ヶ月である。はえーよ。その他の個体も続々とチビサイズで蛹化している。同時期に孵化したと思われるスジブトは依然として蛹化の気配すらないというのに。

生息域の北限に近い関東ヒラタではこんなものか。「60 mmくらい余裕っしょwwwww」と思っていた当時の僕を殴りたい。

飼育表(※AG菌糸だけ550cc。他は全てPP800cc)

個体
番号
性別1本目
投入日
1本目
概要
2本目
投入日
2本目
概要
2本目投入時体重 (精度0.5)備考羽化確認日成虫サイズ(mm)体長のZ-score(オス・メス分けて算出)
12020/10/18栄養フレークEX2021/01/17MT160金4.034-0.41
22020/10/18栄養フレークEX2021/01/17MT160金5.5361.22
3?2020/10/18栄養フレークEX2021/01/17MT160金測定不能
42020/10/18栄養フレークEX2021/01/17栄養フレークEX4.034-0.41
52020/10/18栄養フレークEX2021/01/17MT160金3.5361.22
62020/12上旬栄養フレークEX2021/01/17栄養フレークEX2.0常温放置の産卵セット内から回収33-1.22
72020/12上旬栄養フレークEX2021/01/17MT160金1.0常温放置の産卵セット内から回収。20210624現在まだ幼虫
82020/10/18AG菌床
92020/10/18AG菌床2021/01/17栄養フレークEX6.050-1.15
10
→♀
2020/10/18AG菌床2021/01/17MT160金5.0350.41
112020/10/18AG菌床2021/01/17MT160金7.0550.58
122020/10/18AG菌床2021/01/17MT160金6.5550.58
132020/10/18AG菌床2021/01/17栄養フレークEX4.52021/04/30340.41

20210624 ほぼすべての個体が羽化する

ほぼすべての個体が羽化したので飼育表を更新した。7番の回収時1gだった幼虫は完全に死んだと思っていたがぷりぷりと成長してまだ幼虫を続けている。こいつは2年1化だろう。

最大サイズは♂55mm, ♀36mmだった。関東で55mmが野生に居たら相当大きくてテンションが上がるだろうが, 飼育下で見るとでっけーコクワかなくらいのインパクトしかない。やはりヒラタは60mm中盤を越えてこないと迫力がない。

気づいた点

  1. 1本目はマットとAG菌床で有意差なし
    (Z-scoreの平均値は栄養フレーク群で0.08, AG菌床群で0.00)
  2. 2本目はマットよりMT160菌糸(シワタケ)のほうが大きくなる
    (Z-scoreの平均値は栄養フレーク群で-0.80, MT160群で0.60。サンプル数が少ないとはいえ1標準偏差以上違うので有意差と考える)。
  3. マットは一度しか加水しなかったために割と乾燥気味だった。菌床は良い湿度を維持していた。マットはもっと加湿すべき。
  4. シワタケ菌床は詰替えから8ヶ月も経っているがまだ状態が良い。一本返しも狙えるかも。
  5. 7番の回収時に1gだった幼虫をシワタケ菌床に投入したが無事生きている。発売元の説明によるとシワタケ菌は強いので3齢での投入が無難とのことだったが、本土ヒラタは2齢で投入しても耐えるかもしれない。
    ——-以下余談—————————————————————————
  6. シワタケ菌床はトビムシが湧きまくって気持ち悪い。
  7. 13番の個体は羽化2ヶ月で行動を開始した。8月くらいになったら繁殖可能かも?
  8. 2本目のシワタケ菌床は半分くらいしか食われてない(特に♀だと1/3くらい)。

来年の戦略(と言う名のなぐり書き)

  • 仕上げはシワタケで
    今回の結果を受けて。保ちがよく加水がいらず管理が楽なのもポイント。
  • シワタケ一本返しもあり
    シワタケは1500ccあたりなら十分に一本返しも狙えると思う。♀なら800でもいけそう。ただし途中で死亡した場合、高級なシワタケ菌床が無駄になってしまうことが欠点。
  • 一本目はマットでもいいかも
    菌床だとお金がかかる上、割り出し後幼虫の頭数を確認してから発注しないといけないのでめんどくさい。割り出し->プリンカップに詰めたマットで管理->必要分のシワタケ菌床を発注->詰める->一ヶ月後2齢になりかつ詰めたシワタケ菌糸が回ったあたりで投入、というのが理想か。
  • 温度はもっと下げる
    今回は冬場を19〜20℃で管理したが, それでも孵化から蛹化までたった7ヶ月しかかからなかった。関東ヒラタの羽化までに必要な積算温度はかなり少なそうだ。来年は18℃まで温度を下げて幼虫期間を少しでも引っ張る。

来年の目標

♂ 60mm

♀ 37mm

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